【産地・品種・精製】コーヒー豆の味を決める3つの要素について徹底解説

目次

果実味のあるナチュラルとクリアなウォッシュド|精製方法による違い

木になったコーヒーチェリー

コーヒーの味わいは「精製方法」によっても変化します。

私たちが普段目にしているコーヒー豆は、コーヒーチェリー(コーヒーの実)の種子の部分。
チェリーは外側から【1外皮→2果肉→3ミューシレージ(粘着液)→4パーチメント→5シルバースキン→6種子(生豆)】となっており、生豆を手に入れるためには1〜5を取り除く必要があります。
この1〜5を取り除く作業のことを「精製」と呼び、精製の方法によってコーヒー豆は異なる味わいに仕上がるんです。

精製はコーヒーをどの状態で乾燥させるかによって大きく4つの方法に分けられます。

ナチュラル(乾燥式、非水洗式)・ワイニープロセス

ナチュラルは最もシンプルな精製方法で、収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日干しした後に脱穀し、生豆を取り出します。
果肉の香りや甘みが生豆に染み込むことで、ナチュラル特有の風味を得ることができるのが特徴です。

ナチュラルは天日干しによって乾燥させるため天候の影響を受けやすいですが、水の少ない地域でも精製が可能となるため水源が乏しい地域で多く採用されています。

また、チェリーを乾燥させる過程で発酵させる方法のことをワイニープロセスと呼びます。発酵過程において果肉が腐敗する可能性もあることから高い技術力が必要になりますが、香り高い果実酒のような風味のコーヒーに仕上がることから人気の精製方法です。

パルプドナチュラル(半水洗式)・ハニープロセス

外皮と果肉のみを取り除き、ミューシレージは残したまま乾燥させるのがパルプドナチュラルです。乾燥の前に果肉を取り除くため、熟していない硬い果実を選別することができます。

あえてミューシレージは残して乾燥させるため、ミューシレージの持つ糖分や酸味が生豆に染み込み、甘みや透明感を感じられる味わいに。ウォッシュドのように大量の水を使わないこともあり、近年注目が高まっている精製方法でもあります。

また、中米ではハニープロセスと呼ばれますがハチミツとは関係ないことを覚えておきましょう。

ウォッシュド(水洗式)

ウォッシュドは果肉とミューシレージを取り除いた状態で乾燥させる精製方法で、現在最も広く用いられています。
名前のとおり大量の水を使用して洗い流した後に乾燥させるため、雑味が少なくクリーンな味わいに。
また、欠点豆が混入するリスクも少なく気候の影響も受けづらいため、均一性があり質の高いコーヒー豆が生産できます。

しかし優れた精製方法である一方、大量の水を使用することに加え、果肉を除去するための機械やミューシレージを洗い流す際に使用する水路など多くの設備を必要とすることから、地域によっては不向きな方法です。

スマトラ式

スマトラ式はその名のとおり、インドネシアのスマトラ島で行われる伝統的な精製方法で、果肉とミューシレージを取り除いた後に1回、その後種子を取り出してから1回と計2回の乾燥工程を経るのが特徴的です。

雨が多い土地柄のため、乾燥期間を短くするために考案された方法で、この方法で生成された豆は唯一無二の独特な風味を持ちます。
また、スマトラ島で生産されたアラビカ種のコーヒーはマンデリンと呼ばれます。深いコクや苦味が特徴的でとても人気のコーヒー豆です。

コーヒー豆を知ることはより良い暮らしに繋がる

コーヒー豆

コーヒーの味わいは抽出や焙煎の方法だけでなく、多くの要素が複雑に絡み合って決まっているためそれらについて知識を持つことが大切です。
また、コーヒー豆についての知識を持つことは、自分にとってのお気に入りのコーヒーが見つけられるだけでなく、家族や友人においしいコーヒーを勧められるようになったりと、周囲の方にまで良い影響を与えることができます。

コーヒーに関する正しい知識を持ち、暮らしをより良いものにしていきましょう。

1 2
目次