簡単なのにおいしい!世界一のバリスタが考案したコーヒーの淹れ方「46メソッド」

コーヒーをドリップしている最中(お湯を注いでいる)

皆さんは「4:6メソッド」(ヨンロクメソッド)と呼ばれるコーヒーの淹れ方を知っていますか?
この淹れ方は2016年に行われたWorld Brewer Cupで優勝し、世界一のバリスタとなった粕谷哲さんが考案した抽出法です。

世界チャンピオンになれるほどおいしいコーヒーを淹れられるのに、方法さえ知ればすぐにでも実行できるという魔法のような抽出法。皆さんもこの記事を読んだ後すぐに試してみてくださいね!

目次

World Brewers Cup 2016チャンピオン粕谷哲さんのプロフィール

バリスタ粕谷哲氏
出典:PHILOCOFFEA公式HP (右から3番目が粕谷氏)

1984年茨城県に生まれた粕谷さん。青山学院大学大学院を修了後にベンチャーIT企業に就職しましたが、1型糖尿病を発症して入院したのを機にコーヒーに目覚め、そこからコーヒーの道へと進みます。

2013年には「コーヒーファクトリー」でバリスタに。そしてわずか3年後、2016年に開催されたWorld Brewers Cupでアジア人として初となる世界チャンピオンに輝きました。

現在では自身が設立したスペシャリティコーヒー会社「PHILOCOFFEA」の経営や、YouTubeチャンネル「TETSU KASUYA World Brewers Cup Champion」の運営など多岐に渡って活躍されています。

世界を制したコーヒーの抽出方法「4:6メソッド」

ドリッパーにお湯を注ぐ

そんな粕谷さんを一躍有名にしたのはWorld Brewers Cup 2016で披露した「4:6メソッド」と呼ばれるハンドドリップの方法。粕谷さんによって考案されたこの方法は、使うお湯を40%と60%に分けてそれぞれで味と濃度を調節します。

お湯の量などの「数字」で味を管理するため、他のドリップ方法のようにお湯を注ぐ「技術」に味が左右されにくく「誰でも簡単においしいコーヒーを淹れられる」という粕谷さんの思いを形にした画期的な方法です。

また、簡単なだけではなく非常においしいコーヒーが淹れられるとして、世界中のバリスタをはじめ多くのコーヒー愛好家たちに愛用されています。

「4:6メソッド」を使ってコーヒーを淹れるための準備

楽しそうにコーヒーを淹れる女性

誰でも簡単においしいコーヒーを淹れられる「4:6 メソッド」ですが、実際にはどのようなものなのでしょうか。事前の準備から実際の抽出まで詳しく解説します!

コーヒーを淹れるための道具は6つ+α

2つ並んだV60ドリッパー

必要な道具は以下のとおり。特別なものはなく、通常のハンドドリップで使用する道具と同じです。

・ドリッパー
・ペーパーフィルター
・ケトル
・スケール
・サーバー(コーヒーカップで代用可能)
・タイマー(スマートフォンのアプリでOK)
※コーヒーミルがあった方がよりおいしく淹れられますが、必須ではありません

どんな道具を使用しても概ね「4:6メソッド」は再現できると粕谷さんは言われておりますが、可能であればハリオのV60ドリッパーがおすすめとのことです。

豆の挽き方は粗挽き

ミルに入った豆2

「4:6メソッド」は粗挽きの豆を使用することを前提に設計されている抽出方法です。
普段は中挽きや中細挽きで挽かれる方が多いと思いますが、粗挽きならではの酸味や甘みを感じてみてください。

▽挽き目調整の目安
粗挽き(明るい印象) ↔︎ 細挽き(強い印象)

粗挽きの豆を使って明るいコーヒーを淹れるために設計された「4:6メソッド」ですが、濃い目コーヒーがお好みの場合は細かく挽くことで対応可能です。

お湯の温度は低めに設定しよう

沸騰した水の表面

沸かしたての高温のお湯はコーヒーの成分が抽出されすぎてしまい雑味の原因となってしまいます。
焙煎度に合わせて適切な温度のお湯を使用するようにしましょう。

浅煎り → 93℃前後
中煎り → 88℃前後
深煎り → 83℃前後

軟水であれば水道水でも構いませんが、浄水を使用した方がまろやかに仕上がるためおすすめです。

「4:6 メソッド」の概要と抽出の流れ

4:6メソッド説明図

ここからは「4:6メソッド」の具体的な内容や抽出の流れについて解説していきます。

「4:6メソッド」の概要

コーヒーを飲む女性の手元

1.お湯と豆の比率
 抽出する量の15分の1の量の豆を使用します。(お湯:豆=1:15)
 (例)300mlのコーヒーを淹れるときは豆を20g使用

2.お湯の量を4:6に分ける
 (例)300mlのコーヒーを淹れるときは120ml(40%)と180ml(60%)で考える
  ※分けるといっても、物理的に容器等を分ける必要はありません。

3.最初の40%で「味わい」を整える
 最初の40%のお湯は2回に分けて投入します。この時の投入量のバランスで味わいを整えることが可能です。
 1投目の方が2投目よりも「少ない」 → 「甘い」味わいに仕上がる
 1投目の方が2投目よりも「多い」 → 「すっきりとした」味わいに仕上がる
 1投目と2投目が「同じ」 → 「バランスの良い」味わいに仕上がる

4.残りの60%で「濃度」を整える
 残りの60%の投入回数で濃度を整えます。
 1回で投入する → 「薄く」仕上がる
 2回に分けて投入する → 「濃く」仕上がる
 3回に分けて投入する → 「より濃く」仕上がる
 ※最初の40%の2投と合わせた回数が名称となるため、上から順に3投式、4投式、5投式と呼ばれます。

「4:6メソッド」を用いた抽出の流れ

コーヒーをドリップしている最中(お湯を注いでいる)

ここでは、20gの豆を使って300mlのコーヒーを5投式で抽出する際の流れについて説明します。
抽出完了まで3分30秒が目安です。
 

1投目

60mlのお湯を円を描くように15秒ほどかけて注ぎ、30秒蒸らします。

2投目

1投目のお湯がほとんど落ち切ってから2投目を注ぎます。これが粗挽きでもしっかり抽出するためのコツです。
2投目も注ぎ方は1投目と同様です。

3投目

2投目と同様です。

4投目

2投目と同様です。

5投目

2投目と同様です。
ここだけお湯を注ぐ間隔が30秒になるので注意してください。(他は全て45秒)

抽出完了

注ぎ始めから3分30秒後を目安にドリッパーを外します。

このタイミングでコーヒーが落ち切るような挽き目がちょうど良いです。3分30秒時点でお湯がドリッパー内に多く残っている場合は挽き目を粗くし、逆に3分より早く落ち切っている場合は挽き目を細かくしましょう。

 

深煎りの豆を使用する場合や挽き目の細かい豆を使用する場合は濃くなりやすいため、5投式ではなく4投式もしくは3投式がおすすめです。

誰でも簡単においしいコーヒーを淹れられる「4:6メソッド」

コーヒーを抽出中に膨らんだ粉

世界チャンピオンになれるほどの抽出方法なのに、すぐにでも真似できる「4:6メソッド」
数字で味わいを管理できるため再現性も高く、調整がしやすいのも魅力的です。

粕谷さんは「すべてのコーヒー愛好家にとって完璧な淹れ方とは考えていません。」と話されていますが、この淹れ方を知っておいて損はありません。
ぜひ「4:6メソッド」を使って、自分の好みの味を探求してみてください。

4:6メソッドと相性ぴったり。粕谷さんがプロデュースしたドリッパーをこちらの記事で紹介していますので、合わせてご覧ください!

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