コーヒーの味は「豆の種類」や「焙煎度」だけで決まると思っていませんか?
実は、精製方法(Processing)によっても香りや甘さ、酸味が驚くほど変わります。
なぜなら、コーヒーの果実は摘み取ったあと、そのままではすぐに発酵し、風味に大きな影響を与えるため、生豆になる前の処理方法がとても重要だからです。
・果肉をつけたままゆっくり乾燥させる「ナチュラル」
・水で果肉を除去する「ウォッシュド」
・その中間的な「ハニー」
など、プロセスごとに仕上がる味わいはまったく異なります。
ヤマダ例えば、ナチュラルでは甘く濃厚なフレーバーが際立ち、ウォッシュドではクリーンで爽やかな酸味が楽しめるといった具合です。
豆選びの際に精製方法も意識するだけで、いつもの一杯がぐっと奥深いものになります。
この記事では、主要な精製方法の特徴と味の違い、そしてパッケージから見分けるコツまで、わかりやすく解説します。
「同じ豆でも、精製でこんなに違うんだ!」と感じるはずですよ。
この記事は以下の書籍を一部参考にしています。
精製方法によるコーヒーの味の違い


コーヒーの果実は、摘んだ後にそのまま放置しておくと、短時間で発酵し香りに影響がでてしまう繊細な食物です。
そのため、摘んですぐに果実を除去して種子を取り出し、貯蔵や輸送に耐えられるよう処理します。
このコーヒーの果実を生豆にするまでの工程を「精製」と呼び、生産地の環境などによりいくつかの精製方法があります。



コーヒーの味わいにも大きく影響するため、精製方法も踏まえて豆を選ぶと、コーヒーの楽しみ方も倍増します。
精製方法の種類と味わいの違い
ナチュラルプロセス(ドライプロセス)
コーヒーの果実をコンクリートやビニールシートの上に広げて1〜3週間かけゆっくり乾燥させ、果肉と内果皮を一度に脱穀する方法です。
実と豆が接している時間が長いため、果実の有する個性がしっかりと生豆に移り、豆による味の違いがはっきり現れます。



十分なコクと甘味を持つ、複雑なフレーバーに仕上がるのが特徴です。深い焙煎にも耐えられ、濃厚な味わいが出ます。
・ブラジル
・イエメン
・エチオピア など
ウォッシュドプロセス(ウェットプロセス)
コーヒーの果実を水槽に入れ、水に浮いた未熟な果実や異物を取り除いた後に、マシンで果肉を取り除きます。
これを水槽に送って約12〜36時間かけて自然醗酵させ、種子を覆っている粘液質を分解し、その後乾燥させる方法です。



精製度が高いため均一で安定性があり、クリーンでバランスの良い香味に仕上がります。酸味があり、爽やかで軽い味わいを生み出します。
・コロンビア
・グアテマラ
・ケニア
・タンザニア など
パルプドナチュラル(ハニープロセス)
ウォッシュドプロセスを簡素化した方法。
コーヒーの果実を水槽に入れ異物を取り除いた後、マシンで果肉を除去し、内果皮が付いたままコンクリートや棚に広げて天日で乾燥させます。
種子を覆う粘液質の残存量が多いほど複雑な味わいになり、その量がその量が多い順にブラックハニー、レッドハニー、イエローハニー、ホワイトハニーと呼ばれる。



ナチュラルとウォッシュドの中間的な風味特性を持ち、クリーンで爽やかな風味を持ちつつ、甘味とコクのある複雑なフレーバーが現れます。
・ブラジル
・コスタリカ など



その他にも、インドネシアのスマトラ式やインドのモンスーンプロセスなど、地域の特性を活かした独自の精製方法なども存在します。
精製方法はパッケージで確認しよう!




コーヒーの精製方法は食品表示の必須項目でないため、流通量の多いコーヒーには表記されないことが多いですが、主にスペシャリティコーヒーの商品には、パッケージに精製方法が明記されています(↑の画像の赤線部)。
商品名や商品表示の一部に「ナチュラル」や「ハニー」の表記があれば、それが精製方法です。
精製方法の表記がない商品は「ウォッシュド」と考えて良いでしょう。ウォッシュドプロセスは最も広く用いられている精製方法であるため、記載が省略されることがあります。
商品によって表示は異なるため、精製方法が不明な場合はぜひ店員さんに確認してみてください。



コーヒーの精製方法とその違いを知ることは、生産者の工夫や想いを理解することにも繋がります。
コーヒー豆を購入する際には、ぜひ精製方法も参考にしながら選んでみてはいかがでしょうか。

