「おいしいコーヒーを飲みたい」と思った時、まず考えるのはコーヒーの淹れ方や焙煎の度合いではないでしょうか。
確かに、それらがコーヒーの味わいに与える影響は大きく、無視することのできない重要な要素です。
しかし、コーヒーの味わいに影響を与える要素はもっとたくさんあるんです!
今回は意外と知られていない3つの重要な要素について解説します。
【生豆】コーヒー豆の味わいを決める3つの要素
コーヒー豆の味わいは複数の要素で決まります。特に焙煎は大きな要素であり、コーヒーが好きな方は焙煎度合いにこだわりを持っておられる方も多いのではないでしょうか?
しかし、コーヒー豆は焙煎前の状態(生豆)でもそれぞれが別の個性を持っており、味わいだけでなく香りや形まで異なります。
そしてそれらの個性を決める重要な3つの要素が「産地」、「品種」、「精製方法」です。
今回はそれぞれの要素ごとに特徴をまとめ、解説していきます。
産地ごとのコーヒー豆の特徴
コーヒー豆の種類として「ブラジル」や「コロンビア」、「エチオピア」といった名前を聞いたことがある人は多いと思います。
コーヒー豆は生産国や生産地域ごとに特徴が出やすいため、その名に産地が付くことが非常に多いんです。
豆の名前の付け方の例を挙げてみます。
▽コーヒー豆の名前
例1:パナマ ハートマン ワイニー カトゥーラ (左から産地、農園、精製方法、品種を表す)
例2:グアテマラアンティグア クプラ シティロースト(左から産地、農園、焙煎度合いを表す)
ここからもわかるようにコーヒー豆の個性を決める上で重要な産地は、名前の最初に付くことがほとんどです。つまり、産地ごとの特徴を知れば好みの豆も見つけやすくなるということになります。
そこで、代表的な産地と産地ごとの特徴を9つ紹介します。
名前 | 特徴 |
ブルーマウンテン | ジャマイカにあるブルーマウンテン山脈の内側にある「ブルーマウンテンエリア」 で栽培されたコーヒーのことでコーヒーの王様とも呼ばれる。優雅な香りや バランスの取れた甘味が特徴的。 |
ブラジル | 生産国はブラジル。酸味と苦味のバランスが良く万人受けしやすい。ブレンドの ベースに使用されることも多い。 |
コロンビア | 生産国はコロンビア。ナチュラルな甘さと重量感のあるコクがある。 |
モカ | モカ港から出荷されていたためモカという名前がついた豆。生産国はエチオピアと イエメン。香り高く独特の酸味を持っている。 |
キリマンジャロ | タンザニアにあるキリマンジャロ山中腹で栽培されたコーヒー。強い酸味とコクが 特徴的で、「野生味あふれる」と評されることも多い。 |
ケニア | 生産国はケニア。甘く爽やかな酸味と香りが特徴的。とてもフルーティでベリーを 彷彿とさせる風味を持っている。 |
グアテマラ | グアテマラで生産される。華やかな香りと明るい酸味が魅力的で、甘味も感じられる。 |
コナ | ハワイ島のコナ地区で生産されるコーヒー。はっきりとした酸味とフルーティな甘味、 まろやかさが特徴。苦味は少ないがコクは深め。 |
マンデリン | インドネシアのスマトラ島で生産される。マンデリン族によって栽培されていたことが 名前の由来だと言われている。コクが深いことで知られ、深煎りにして苦味を楽しむ ことが多い。 |
この表を参考に、気になった豆を試してみてください!
コーヒーの3大原種とは?品種ごとの特徴を解説
コーヒーの味わいに影響を与えるのは産地だけではなく、「品種」も同様です。
実はコーヒーには200を超える品種があり、同じ産地のコーヒーであっても品種が違えば異なる味になります。
ですが、200以上の品種それぞれで全く味が異なるというわけでもありません。なぜなら全ての品種は、「3大原種」と呼ばれる3つの品種から派生してできているため、それら3つの特徴を色濃く残しているのです。
そこで、ここでは「3大原種」の特徴について解説します。
3大原種を知ることはコーヒーを理解する上でとても重要です!
アラビカ種
エチオピア原産のアラビカ種は世界のコーヒー生産量の約70%を占める重要な品種です。
病害虫や霧、乾燥などに弱いため栽培に手間がかかりますが、香りや味が他の品種より優れています。
コーヒーの品種は200種類以上ありますが、そのほとんどがこのアラビカ種から派生したものであり、日本でも人気が高いブルボン種やゲイシャ種などもアラビカ種から派生しています。
原産地 | エチオピア |
現在の生産国 | エチオピアや中南米、ハワイなど |
生産量 | 全体の約70% |
味・香り | 明るい酸味があり、香りに優れる |
豆の形状 | 偏平、楕円形 |
栽培高度 | 1000m〜2000m |
ロブスタ種(カネフォラ種)
ロブスタ種は苦味の強さが特徴的な品種で、カネフォラ種と呼ばれることもあります。
独特の苦味や泥臭さがあるためストレートで飲むことにはあまり適していませんが、抽出すると水溶性成分やカフェインが多く出るため、インスタントコーヒーや缶コーヒーなどに多く使われています。
また、低地栽培も可能で病害虫にも強いため生産量が安定しており、比較的安価で取引されています。
原産地 | コンゴ共和国 |
現在の生産国 | ベトナムやインドネシア、アフリカ各国など |
生産量 | 全体の約30% |
味・香り | 苦味が強く、やや泥臭い |
豆の形状 | 丸粒、大粒 |
栽培高度 | 500m〜1000m |
リベリカ種
アフリカ西海岸にあるリベリアが原産国。生産量がとても少なく、またそのほとんどがヨーロッパで消費されるため、日本ではほとんど見ることができません。
生産量が少ない理由は栽培の難しさにあります。
リベリカ種はさび病に弱い上に、コーヒーの実が成熟するまでの期間が長く、大木なので収穫も大変。また、コーヒー豆の大きさが均等でないなど商品としての価値も低くなってしまいやすいんです。
原産地 | リベリカ |
現在の生産国 | フィリピンやマレーシア、インドネシアなど |
生産量 | 全体の約1% |
味・香り | 強い苦味 |
豆の形状 | ひし形 |
栽培高度 | 〜200mの低地 |