コーヒーはワインと同様に、その味わいが産地の環境に大きく影響される飲み物。
フルーティーな酸味を感じるものやチョコレートのような甘味を感じるもの、ナッツのようなコクを感じるものまで様々です。
COFFEE HACKでは、産地ごとのコーヒー豆の特徴をわかりやすくまとめてお届けしています。
今回紹介するのは程よい苦味と酸味でバランスの良いブラジル。
おすすめの焙煎度などについても紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
南米で育まれるブラジルコーヒー
ブラジルコーヒーの生まれ故郷であるブラジルは一体どのような場所なのでしょうか?
まずは、ブラジルの概要やコーヒー栽培の特色について見ていきます。
ブラジルってどんなところ?
南アメリカに位置するブラジル(正式名称はブラジル連邦共和国)は南米大陸で最大の面積を占める非常に大きな国。
面積は日本のおよそ22.5倍でアメリカよりは小さいものの、ロシアを除いたヨーロッパ全土より大きいです。
また、人口も2億人以上いるなど世界的にもトップクラスで大きな国となっています。
広大な土地を活かしてコーヒー栽培を行っているんですね!
【歴史】ブラジルでコーヒー産業が盛んになるまで
そんなブラジルでコーヒー産業が盛んになったのは奴隷制度の影響と言われています。
エチオピアで栄えていたコーヒー産業をヨーロッパの国がブラジルに持ち込んだことでコーヒーの栽培が始まり、数多くいた奴隷の移住者たちが労働することで発展していったのです。
奴隷制度が廃止された後もコーヒー産業は続き、今では世界のおよそ1/3の生産量を占めるほどです。
ブラジルコーヒーの品質は年々向上し続けている
ブラジルでコーヒー栽培が盛んになったのは労働人口が多かったことに加え、日照量や雨量、土壌がコーヒー栽培に適していたからです。
これらの利点を活かし世界有数のコーヒー生産国となったブラジルですが、当初は生産量を重視するあまり、お世辞にも品質が高いコーヒーとは言えないものでした。
しかし近年では世界中でブラジルコーヒーが飲まれるようになったことやスペシャルティコーヒーの流行などにより、品質を意識する農家の方がブラジルでも多くなっており、確実に品質が向上しています。
ブラジルコーヒーの格付けは3つの要素で決まる
そんなブラジルのコーヒー豆の品質は「欠点数」、「スクリーンサイズ(豆の大きさ)」、「カップテスト」の3つの要素で格付けが行われます。
それぞれの詳細については以下の通りです。
欠点数
欠点数は生豆300gに含まれる欠点豆の数で採点を行います。
グレードはNo.2から始まるのですが、これは欠点豆がひとつもないことはあり得ないためNo.1を設けないという考え方からです。
ちなみにNo.6以上の豆のみが輸出の対象となっています。
グレード | 欠点豆の数 |
---|---|
NO.2 | 0~4個 |
NO.3 | 5~8個 |
NO.4 | 9~26個 |
NO.5 | 27~46個 |
NO.6 | 47~86個 |
NO.7 | 87~160個 |
NO.8 | 161~360個 |
NO.1が無いというのは変な感じがしますよね。(笑)
スクリーンサイズ
ブラジル産のコーヒー豆は豆の大きさが大きければ大きいほど高グレードということになっています。
なお、輸出対象となるのはスクリーン16以上のサイズのみです。
グレード | スクリーンサイズ |
---|---|
スクリーン20 | 8mm |
スクリーン19 | 7.5mm |
スクリーン18 | 7mm |
スクリーン17 | 6.75mm |
スクリーン16 | 6.5mm |
スクリーン15 | 6mm |
スクリーン14 | 5.5mm |
スクリーン13 | 5mm |
スクリーンは#や S で表記されることもあります。
(例:スクリーン20であれば #20 or S20と表記されることがある)
カップテスト
最後にご紹介するのはカップテストによる格付け。
味わいだけでなく口当たりや薬品臭の有無などについてもチェックを行います。
グレード | テイスティング |
---|---|
ストリクトリーソフト | 滑らかな口当たりと甘みが十分にある |
ソフト | 滑らかな口当たりと甘みがほどよくある |
ソフティッシュ | 甘みが軽くある |
ハード | 口当たりが悪く酸味や渋みがある |
リオイ(リアード) | 軽めのヨードホルム臭、薬品臭がある |
リオ | 強めのヨードホルム臭、薬品臭がある |
3つの観点から厳しくチェックを行うことで品質の安定を図っているんですね。
ブラジル産コーヒー豆の特徴は?
酸味と苦味のバランスが良く、価格も比較的安定していることなどから人気のブラジル産のコーヒー。
その味わいにはどんな特徴があるのでしょうか?
コーヒー界の「スタンダード」的存在
適度な苦味と爽やかな酸味があり、コクもしつこくないことから非常に飲みやすいのがブラジル産コーヒーの特徴です。
焙煎度によっても多少変化しますが、柔らかめの酸味とナッツやチョコレートの様な甘い香りも特徴的。
味や香りのバランスが良い事からコーヒーの「スタンダード」とされることが多いです。
オールマイティーでどんな焙煎度でもおいしい
ブラジル産のコーヒーは万能な味わいを持っているため、浅煎りから深煎りまでどんな焙煎度でもおいしく飲むことができます。
また、他の豆との相性も良くブレンドコーヒーのベースとして使用されることも多いです。
ミルクや砂糖との相性が良いのも嬉しいポイントと言えるでしょう。
コーヒー豆の特徴にとらわれずに自分の好みの焙煎度や飲み方を選べるのがブラジル産コーヒー豆の特徴です。
ブラジル産コーヒー豆の楽しみ方
万能なブラジル産のコーヒーはどんな飲み方でもおいしくいただくことができますが、現地の方々はどのようにコーヒーを楽しまれているのでしょうか。
ここからはブラジルの方々に人気のコーヒーの飲み方をご紹介します。
基本はホットコーヒー
暑いイメージのあるブラジルですが、コーヒーはホットが主流です。
真夏の暑い日であってもアイスコーヒーではなくホットコーヒーを飲みます。
ホットの方がコーヒー豆をダイレクトに感じられ味わい深いという考え方が広まっているようです。
エスプレッソやカプチーノが人気
ブラジルではエスプレッソやカプチーノが飲まれることが多いです。
小さなカップに濃厚なコーヒーを注いで味わうのが現地のスタイル。ブラジル産のコーヒーを現地スタイルで飲みたい時はぜひ真似をしてみてくださいね。
日本のように”カップ1杯分のドリップコーヒーを飲む”といったことはほとんどないそうです。
砂糖を多めに入れるのがポイント
ブラジルの方はブラックコーヒーを飲むことがほとんどなく、基本的にはたっぷりと砂糖をいっぱい入れて飲みます。
その量はコーヒー1杯あたりスプーン4,5杯にもなるんだとか…。
ホットコーヒーが好まれるのも砂糖の甘みをより感じられるという点も大きいようです。
オールマイティーなブラジルコーヒーは誰にでも好まれる味
悪く言えば特徴が少ないということにもなるかもしれませんが、程よい苦味と酸味でバランスの良いブラジル産のコーヒーは誰でもおいしく飲むことができるコーヒーです。
焙煎度も飲み方も自由自在で何にでも相性が良く、コーヒー豆の中で最も懐の深い豆がブラジルかもしれません。
また、近年どんどん品質が向上しており、スペシャルティコーヒーとしても存在感を示しています。
ぜひ高品質なブラジル産のスペシャルティコーヒーを試してみてくださいね。