コーヒーはハンドドリップやコーヒーメーカー、エスプレッソマシンなど様々な方法で淹れることができます。
ですが、必要な器具が多かったり機械への初期投資が高かったりとコーヒー初心者の方にはとっつきづらいのも事実です。
「でも、自分でコーヒーを淹れてみたい」そんな方におすすめしたいのがフレンチプレスを使ったコーヒーの抽出。
必要な器具は1つだけ、また淹れ方を知れば技術に左右されずに誰でもおいしいコーヒーが淹れられる神アイテムなんです。
そんなフレンチプレスの使い方やフレンチプレスで淹れたコーヒーの特徴などについて解説していきます!
「イタリア」人が発明したのに「フレンチ」プレス
「フレンチ」という名がついているにも関わらず、1929年に「イタリア」人デザイナーのアッティリオ・カリマーニによって発明されたフレンチプレス。一体どのようにして生まれたのでしょうか。
原型はフランスで誕生?
イタリア人によって発明されたフレンチプレスですが、その原型が生まれたのはフランスだと考えられています。そしてこれを元にフレンチプレスを発明したのが前述のアッティオ・カリマーニです。またその後、同じくイタリア人のファリエロ・ボンダニーニが改良型の特許を取得しています。
「フレンチ」プレスとして広まったのはこの後のこと。カリマーニがフランスのマーティンSAというクラリネット工場で生産を始めたのです。
すると瞬く間にフランスで流行し、ヨーロッパ中に広まりました。さらにデンマークのボダム社が「フレンチプレス」として販売を始めたことからこの名が定着したとされています。
生産が盛んになったのがフランスだったから「フレンチ」プレスなんですね。
日本上陸は1970年ごろ
20世紀前半に生まれ、ヨーロッパ各国に広まったフレンチプレスですが、日本に渡ってきたのは1970年ごろです。しかし、最初はお茶を飲むための器具として使われていました。
コーヒー用として広まったのは2000年代に入ってから。日本では比較的新しいコーヒー器具と言えるでしょう。
コーヒー初心者でも簡単!フレンチプレスの使い方
フレンチプレスが世界中で普及したのは、誰でも簡単に安定したコーヒーを抽出できるというのが大きな要因。
コーヒーの粉とお湯を注いで4分ほど待ち、蓋についているフィルターを下ろしたらコーヒーが完成するという手軽さです。
それでは具体的なレシピや抽出方法を解説します。
フレンチプレスを使うときに用意するもの
フレンチプレスを使ってコーヒーを淹れる際に必要なものは次の6つです。
・フレンチプレス
・コーヒー豆(中粗挽き)
・水
・ケトル(やかん)
・スケール
・タイマー
フレンチプレスとコーヒー豆以外はすでに家にあるものばかりではないでしょうか?
新たに準備しなければならないものが少なくてすむのもフレンチプレスを使うメリットの1つです。
コーヒー豆とお湯の量は1:17が基本です。350mlのプレスの場合は20g、500mlのプレスの場合は30g程のコーヒー豆を用意するようにしてください。
抽出時間はたったの4分!フレンチプレスを使った抽出の流れ
用意するものが揃ったら早速抽出していきましょう。
準備を含めても、ものの数分で簡単にコーヒーを淹れることができますよ!
フレンチプレスは待ち時間が4分ほどあります。その間にコーヒーが冷めないようにフレンチプレスに使うもの(フレンチプレス本体やコーヒーカップ)にお湯を注いで温めておきましょう。
コーヒーの粉は挽き目が細かすぎると金属フィルターの間を通過してしまい、舌触りの悪いコーヒーになってしまいます。少し粗めに挽いた豆を使用しましょう(おすすめは中粗挽き。)
粉全体にお湯が行き渡るように、フレンチプレスの半分までお湯を注ぎます。
注ぎ始めと同時に4分のタイマーを開始するのを忘れないようにしてください。
タイマーが30秒経過したら規定量までお湯を注ぎます。
お湯を注ぎ終えたら蓋をして4分経過するのを待ちます。
4分経過したら蓋についているフィルター(プランジャー)を押し下げます。
微粉が混ざらないようにゆっくりと行うのがポイントです。
完成したら事前にお湯で温めておいたカップにコーヒーを注ぎましょう。
全てを注ぎ切らずほんの少しコーヒーを残すことで、微粉が混ざらないおいしいコーヒーを飲むことができます。
フレンチプレスで淹れたコーヒーの特徴|ドリップコーヒーとの違いは?
フレンチプレスで淹れたコーヒーを初めて飲む時、驚かれる方がいらっしゃいます。なぜなら「コーヒーの表面に油が浮いている」からです。
実はコーヒーは元来油分を含んだ飲み物なのですが、一般的によく飲まれているドリップコーヒーはペーパーフィルターがその油分を吸収してしまっているんです。
一方、フレンチプレスのフィルターは金属製であるため、コーヒー豆の持つ本来の味わいをたっぷり含んだオイルまで一緒に味わうことができます。
また、オイルの有無だけでなく、フレンチプレスで淹れたコーヒーとドリップコーヒーは次のような違いがあります。
フレンチプレス | ペーパードリップ | |
使う道具 | フレンチプレスだけ | ドリッパー、フィルター、サーバーなど |
道具にかかる費用 | 数百円でも購入できる | 使う道具を全て揃えると高価になることも |
抽出技術 | 基本的に不要 | 必要(技術によって味が変化する) |
微粉の混入 | ある | ない |
コーヒーオイル | ある | ない |
味わい | 濃厚、しっかりとした味わい | すっきりとした味わい |
コーヒー本来の味わいを安定して抽出できるフレンチプレスと抽出技術によって素材の力を100%以上にもできるペーパードリップといったイメージですね!
コーヒー上級者も愛用するフレンチプレスの魅力
フレンチプレスはシンプルな抽出方法であるため、抽出が簡単なだけでなく、コーヒー豆が持つ特徴をダイレクトに抽出することができるという良さを持っています。
そのため普通にコーヒーを飲むだけでなくカッピングにも使うことができ、初心者だけでなく上級者になっても愛用していけるアイテムなんです。
コーヒーの採点をするカッピング
カッピングとはコーヒー豆の品質を知るために行うものであり、ワインでいうところのテイスティングに近いものです。
少し粗めに挽いた豆にお湯を注ぎ4分ほど待った後、豆の成分がダイレクトにしみ出たお湯をすすることでコーヒー豆が持つ特徴を把握していきます。
フレンチプレスを使ってカッピングを行うメリット
コーヒーを知れば知るほど、豆の品質にも興味が出てくるためカッピングをしたくなるものです。
しかし、カッピングは自宅でもできるものの、その際に抽出されたコーヒーの液はとても飲めたものではなく廃棄せざるをえません。
そこで活躍するのがフレンチプレスです。フレンチプレスで抽出したコーヒーはオイルも取り除かれておらず、豆本来の味を感じやすいためカッピングでも使用することができます。
もちろんおいしいコーヒーを抽出できるため、カッピングをしながらも豆を無駄にすることなくおいしいコーヒーを飲むことができるという、まさに一石二鳥のアイテムなんです。
初めてのコーヒー器具はフレンチプレスで決まり!
技術に関係なく、安定したコーヒーが抽出できるフレンチプレス。
抽出方法は非常に簡単でコーヒー初心者の方にも自信を持っておすすめできるアイテムです。
「自分でコーヒーを淹れてみたいけどなんだか難しそう…」と悩まれている方は、初めての相棒にフレンチプレスを選んでみてはいかがでしょうか?