自宅でコーヒー豆を焙煎するなら手鍋焙煎|実は意外と簡単です!!

手鍋で焙煎した豆

コーヒー好きなら1度は挑戦してみたい自家焙煎。
自分好みに豆を煎ることができるなんてとっても魅力的ですよね!

しかし、「自分で焙煎するなんてハードルが高い」という人が多いのも事実です。

そこで本記事では、誰でもすぐに低コストで始められる”片手鍋”を使った自家焙煎の方法について解説します。
手鍋焙煎は高価な焙煎機を用意する必要もなく、極めれば焙煎機で焙煎したものと遜色のない豆を楽しめるためとってもおすすめの焙煎方法なんです!

ヤマダ

私のように賃貸アパート暮らしでも手鍋焙煎なら可能です!

目次

そもそも焙煎って何のためにするの?

焙煎機

「焙煎はコーヒーを飲むためには必要な工程」ということは皆さんもご存知だとは思いますが、そもそも何のために焙煎が必要かをご存知でしょうか?

焙煎はコーヒーの味わいを決める重要な要素です。手鍋焙煎の解説に入る前にまずは焙煎の概要についてさらっとお伝えしていきます。

ヤマダ

焙煎の目的を知ってより良い焙煎ができるようになりましょう!

コーヒー豆を焙煎する目的

焙煎前のコーヒー豆と焙煎後のコーヒー豆の比較
焙煎前のコーヒー豆(左)と焙煎後のコーヒー豆(右)

焙煎の目的をひと言で表すと「豆が持つ個性を最大限引き出す」ということになります。

そもそもコーヒー豆はコーヒーの果実の中にある種子の部分であり、焙煎する前は淡い緑色をした青臭い豆です。
これを煎ることによって化学変化が起こり、コーヒー特有の苦味や酸味、甘味などを引き出すことができます。


しかし、焙煎はとりあえずやっておけばおいしくなるというものではなく、その豆にあった適切な方法や時間を検討する必要があります。
なぜなら焙煎というのはその方法や時間などの条件によって、同じ豆でも全く違う味わいに変えてしまうからです。

豆ごとの適切な焙煎方法や、自分好みにするための焙煎時間などを研究することが、よりおいしいコーヒーへと繋がります。

自家焙煎コーヒーの魅力

コーヒーを持つ女性の手元

コーヒー豆を販売しているお店で豆を購入した時、おいしいコーヒーに出会えることはあっても自分好みのコーヒーと出会えたことがある方は意外と少ないのではないでしょうか?

自家焙煎の魅力は自分で焙煎の方法や時間を決定して焙煎することができる点。
最初は難しく失敗することもあるかもしれませんが、トライアンドエラーを繰り返すことでより自分好みのコーヒーへと近づけていくことが可能です。

確実に自分の好みのコーヒーを作り上げることができる自家焙煎にぜひ挑戦してみてください!

ヤマダ

さらにコーヒーは生豆で購入した方が圧倒的にお得。お財布に優しいのも自家焙煎の魅力のひとつです。

片手鍋を使った焙煎「手鍋焙煎」とは?

片手鍋

しかし、自家焙煎をするといっても焙煎機は高いし置く場所もないしでなかなか始めづらいというのが正直なところ。

そこでおすすめなのが片手鍋を使った「手鍋焙煎」です。

非常に少ないコストで始められる手鍋焙煎は、今すぐにでも始めることができる焙煎方法。
また、ご家庭のキッチンなど省スペースで焙煎できるのも嬉しいポイントです。

簡単ではあるものの奥が深い手鍋焙煎は、極めることで焙煎機を使って焙煎した豆に引けを取らない豆に仕上げることができます。
そのポテンシャルは確かで、手鍋焙煎で焼き上げたことをウリにしてコーヒー豆を販売されているお店があるほどです!

ヤマダ

少量を丁寧に焼き上げたからこそのおいしさがあります。

自宅で手鍋焙煎をするときにはこの5つが必要です

手鍋焙煎に必要な5つの道具

ここからはいよいよ手鍋焙煎について具体的な説明に入っていきます。

まずは必要なものから。
低コストで誰でも簡単に始められる手鍋焙煎は、たった5つのものを用意するだけで始めることができます。

順番に紹介していきます。

片手鍋

片手鍋

手鍋焙煎の主役はやっぱりこの片手鍋です。ちょうど良いものが家にある方はもちろんそれを利用していただいて構いませんが、焙煎によってニオイや色が付いてしまうため焙煎用の片手鍋を用意することをおすすめします。

鍋は基本的にどんなものでも焙煎に使うことができますが、蓋が付いたものを使用するようにしてください。
(蓋がないと熱が逃げてしまうため焙煎が非常に難しくなってしまいます。)

また、焙煎中は鍋を振り続けることになるので軽量なものの方がおすすめです。
大きさは16cm程のものが良いでしょう。振りやすいサイズ感で1度に最大200gまでの豆を焙煎することのできる大きさです。

まとめると↓のような感じです。

蓋のついた大きさ16cmぐらいのなるべく軽量な片手鍋がおすすめ!

こんな感じの鍋がおすすめですが、ダイソーやホームセンターなどに行けばもっと安いものが見つかるかもしれません。
お好みのものをお選びください。

ヤマダ

ちなみに私は近くのイオンで買った鍋を使用しています。


コーヒー豆(生豆)

コーヒーの生豆

片手鍋と並んで手鍋焙煎の主役となるのがコーヒー豆です。
しかし生豆はなかなか買う機会がなく、どこで買ったら良いかわからないという方も多いと思います。

そこでおすすめなのが私もよく購入している珈琲問屋というお店です。
そこそこ品質の良い生豆が1kg 1000円台から購入可能という高コスパがおすすめのポイント。

まずはここでお手頃な豆を購入し、練習してみましょう!

自分の思うとおりに焙煎できるようになってきたらSPECIALTY COFFEE WATARUなど、高品質なスペシャルティコーヒーを取り扱っている豆屋さんの豆にステップアップしてみてくださいね。

カセットコンロ(熱源)

カセットコンロ

家のキッチンがガスコンロの方は用意しなくても良いですが、IHの方はカセットコンロが必要になります。
IHでは鍋を振る際に熱が伝わらず焙煎することができません。

カセットコンロについても片手鍋と同様、使えれば何でも良いので家にあるという方はそちらを使用していただいて構いません。
一応安価で評価の高いカセットコンロを2つ紹介しますが、お好みのものをご使用ください。

ヤマダ

実家の倉庫に眠っていることもあるので機会があれば探してみると良いと思います!(私はそれで入手しました。)

焙煎をするとチャフと呼ばれる薄皮が散乱することがあります。キッチンのコンロで焙煎するとチャフの掃除が大変になるため、自宅のコンロがガス火の方もカセットコンロを用意する方がおすすめです。

ざる

ざる

焙煎した豆は鍋から取り出し冷却する必要があり、その際に使用するのがざるです。

ざるを選ぶ際のポイントは焙煎した豆を入れた時にある程度余裕があるかどうかです。
余裕のないざるを使ってしまうと冷却時に豆がこぼれてしまう可能性が高いので注意しましょう。
一般的な丸いざるの場合、直径が18cmほどあると安心です。

また、熱々の豆を入れるためプラスチック製のものは避けて金属製のものを使用してください。

焙煎用に新たに購入される場合は、持ち手がついたざるの方が冷却がしやすいためおすすめです。

ドライヤー(うちわでも可)

ドライヤー

最後に紹介するのはドライヤーです。これはざるに取り出した豆を冷却する際に使用します。
そのため、うちわでも構わないのですがあおぎ続けるのは大変なのでドライヤーの方がおすすめです。

もちろん家にあるものをそのまま使用して構いませんが、豆の冷却に使用するとその後1〜2日程ドライヤーから出る風が臭くなってしまうため、気になる方は焙煎用のドライヤーを用意するようにしてください。(冷風機能が付いていれば風量はそこまで必要ありません。)

購入される方におすすめなのはこちらのドライヤーです。かなりコスパが良く、普段使いにも最適です。

また、まずはうちわで試してみようという方は少し大きめのものを用意すると良いでしょう。

 

 

ヤマダ

最後に私が実際に手鍋焙煎で使用している道具を紹介しておきます。

 

▽筆者が手鍋焙煎で使用している道具
・片手鍋 → 近くのイオンで購入(1000円ぐらい)
・コーヒー豆 → 基本は珈琲問屋で購入(1kg2000円ぐらい)
・カセットコンロ → 実家で発掘したやつ(0円)
・ざる → 普段料理で使っているやつを流用(ニトリで500円ぐらい)
・ドライヤー → Amazonで購入(3000円ぐらい)

【手鍋焙煎のやり方】道具が揃ったら早速焙煎してみよう!

手鍋焙煎の準備

ここからはいよいよ手鍋焙煎の具体的な方法について解説していきます!

焙煎中は煙が発生するため、必ず換気扇の下で行ってください。

焙煎前の準備

生豆の計量

まずは実際に煎り始める前に必要な準備について。
煎る前に必要なことは2つあり、それが「計量」と「ハンドピック」です。

計量はそのままの意味で、焙煎に使用する豆を計量します。
焙煎は焙煎する量と焙煎時間の関わりが深いため、その都度焙煎量と焙煎時間を記録しておくことが自分好みの豆を煎りあげられるようになるコツです。

⚪︎焙煎する豆の量と焙煎時間の関係
焙煎する量が多い → 焙煎する時間が長い
焙煎する量が少ない → 焙煎する時間が短い

 

ヤマダ

そもそも手鍋焙煎では200gを超える量の焙煎を1度にすることは困難です。(しっかりと撹拌できずに焼きムラができてしまうため)
しっかりと計量してから焙煎を始めるようにしましょう!

 

準備の2つ目として行うハンドピックは、欠点豆(状態の悪い豆)を取り除く作業のことを言います。
欠点豆が混入すると、たとえそれが数粒であってもコーヒーの風味に大きな影響を与えてしまうため、焙煎前に取り除くようにしましょう。

欠点豆は、ざっと豆全体を見た時に明らかに色がおかしいものや割れているもの、虫食いがあるものなどを取り除ければOKです。

欠点豆
取り除いた欠点豆。ハンドピックは焙煎後の方が欠点豆がわかりやすいこともあるため、焙煎前後で行うのが理想。

焙煎の流れ

手鍋焙煎の準備

いよいよ実際の焙煎の流れについて説明していきます。

焙煎の大きな流れは次のような感じです。

煎り始め→(約8分)→1ハゼ開始(豆からパチパチっと音が鳴りだす)→(約2分)→1ハゼ終了・引き続き煎る→(約2分)→2ハゼ開始(豆からピチピチと音が鳴りだす)→お好みの焙煎度で煎り止め→冷却

焙煎度は煎り止めのタイミングで調整します。煎り時間の短い浅煎りの豆は焼きムラができやすく難易度が高いため、最初のうちは少し深めに煎る(シティかフルシティローストぐらい)のがおすすめです。

 

焙煎の流れを時系列に沿って詳しく解説していきます。(今回は深煎りにする時の流れです。)

0:00
点火
弱火のカセットコンロ

計量した豆を鍋に入れたあとは早速煎っていきます。
火力は火の先端が鍋にギリギリ触れるかどうかの弱火に設定します。

焙煎の流れは次のイラストのような形。
「五徳を鍋を置いて3秒ほど待ったら、持ち上げて前後に振って豆を混ぜる」を繰り返していきます。
焙煎中はこの動きが基本です。

手鍋焙煎のイラスト

鍋を振る時は蓋がガチャガチャと動かないようにしてください。蓋が動いて中の熱気が逃げてしまうと鍋の中の温度が上がりづらくなり、焙煎がなかなか進みません。(鍋を振る時は蓋を抑えることをおすすめします。)

8:00
1ハゼ開始
手鍋焙煎
鍋を振る様子

鍋を置いて、持ち上げて振って、また置いて…と繰り返していくと鍋の中から「パチパチっ」という音が聞こえてきます。これが「1ハゼ」と言われるものです。

1つの目安ではありますが、焙煎開始から8〜10分程で1ハゼが来るように火力を調整するのが良いでしょう。

1ハゼが来たら下のイラストのとおり、蓋を開閉するという動きが加わります。
これは鍋の温度が上がりすぎないようにするためのもので、これをしないと一気に焙煎が進んでしまい焼きムラだらけの豆に仕上がってしまいます。

また、1ハゼ中は火力を少し落とすようにします。(最初の火力の70〜80%ほど)

手鍋焙煎のイラスト
10:00
1ハゼ終了
1ハゼ中の豆

1ハゼは2〜3分ほど続き、徐々に「パチパチっ」という音がしなくなっていきます。音がなくなれば1ハゼは終了です。(完全にはなくならない場合もありますが、ほとんど音がしなくなれば1ハゼ終了と考えてOKです。)

ここからは再度鍋の中の温度を上げていきたいので火力を強めます。この時の火力は最初の火力の80%〜90%を目安としてください。(最初よりは弱火で1ハゼの時よりは強火です。)

また、蓋の開閉はせずに1ハゼ前と同じ動きを繰り返しながら2ハゼが来るのを待ちます。(1〜2分)

11:30
2ハゼ開始
2ハゼ直後の豆

「ピチピチっ」という音が鳴り出したら2ハゼ開始の合図です。
1ハゼの音とは全く違う音なので初めての方にもわかります。

まずは蓋の開閉はせずに鍋を振り続けます。

音が激しくなってきたら(2ハゼのピークを迎えたら)再度蓋の開閉を始めます。

13:30
2ハゼ終了
2ハゼ中の豆

2ハゼも2〜3分ほど続きますが、徐々に音が小さくなっていきます。

豆に油が浮いてきたら火力を弱めていきます。(最初火力の50%以下が目安です。)

14:00
煎り止め
コーヒー豆を鍋からざるに移す

豆が炭になる前に煎り止めを行います。(火を消します。)

火を消した後も予熱でどんどん焙煎が進んでしまうため、鍋を振る手は止めないでください。

15:00
冷却
焙煎した豆をドライヤーの冷風で冷ます

好みの焙煎度になったら鍋からざるに移して冷却していきます。
この時、まだ豆は熱々の状態なので触らないように注意してください。(火傷をするぐらい熱いです。)

冷めるまでは焙煎が進んでしまうため、なるべく早めに冷却する必要があります。
ざるを振りながらドライヤーの冷風を当てて豆を冷ましていきます。

チャフと呼ばれる薄皮が周囲に散乱するため、掃除のしやすい場所や掃除が不要な場所(屋外等)で冷却するようにしましょう。
また、ドライヤーの強風を当てると豆が飛んでいくこともあるためドライヤーの風量は抑えめにしてください。

20:00
焙煎終了

豆を手で触れても熱くなくなれば焙煎終了です。

焙煎したてのコーヒーをすぐに飲みたくなるとは思いますが、焙煎直後はガスが多くて抽出しづらい上に風味が安定していません。
2、3日寝かせることで香りも味も引き立ち、ベストな飲み頃を迎えるため少し我慢してから飲んでくださいね!

【一覧】手鍋焙煎をする際の焙煎度の目安

焙煎度の目安

焙煎度はよく浅煎りや中煎りといった言葉で表現されますが、より詳細に8つに分類することができます。
例えば、同じ浅煎りでもライトローストとシナモンローストの2種類に分けられ、ライトローストの方がより浅い煎り方です。

この8つの焙煎度を狙い通りに煎ることができれば一人前の手鍋焙煎士と言って良いでしょう。
それぞれの目安は以下のとおりです。

ライトロースト1ハゼが起こる寸前に煎り止める
シナモンロースト1ハゼの途中(1ハゼのピーク)で煎り止める
ミディアムロースト1ハゼの終了時に煎り止める
ハイロースト1ハゼと2ハゼの間に煎り止める(豆表面のシワが伸びて香りが変化する手前)
シティロースト2ハゼ開始直後に煎り止める
フルシティロースト2ハゼの途中(2ハゼのピーク)で煎り止める
フレンチロースト2ハゼ終了時に煎り止める
イタリアンロースト2ハゼ終了後、炭になるまでに煎り止める
ヤマダ

先ほどはイタリアンローストの焙煎を例に説明していますが、まずはシティローストかフルシティローストがおすすめです。

 

また、ハゼのタイミングで焙煎度を管理するのが難しい方はこちらの記事をご覧ください。
より簡単に焙煎度を把握できる「焙煎指数」について解説しています。

手鍋焙煎に関するよくある質問

Q&A

最後に手鍋焙煎をする際によくある質問と回答を紹介します。

1ハゼと2ハゼの間の時間がなく、ハゼが繋がってしまうのはどうしたらいい?

1ハゼと2ハゼが繋がってしまう原因は「火力が強いから」です。火力を落としてじっくり焼き上げることで1ハゼと2ハゼのピークをしっかりと作ることができます。

1ハゼと2ハゼが繋がってしまうとボヤッとした味わいの豆になってしまいます。また、焼きムラが生じる可能性も高くなるため、火力に注意して1ハゼと2ハゼがしっかりと分けられるように注意しましょう。

最終的な焙煎度が同じなら、短時間で焙煎した時と長時間かけて焙煎した時は同じ仕上がりになる?

この質問の意味は、強火で一気に深煎りにした豆と弱火でじっくりと深煎りにした豆の仕上がり(味わいなど)は同じなのかという意味です。

同じ深煎りであれば見た目は変わりませんが、味わいは意外と異なります。
これは、焙煎時間が長くなればなるほど、香りが飛んでしまい豆本来の特徴が出づらくなってしまうためです。
一方で、短時間で焼き上げようとすると焼きムラが非常にできやすく注意が必要です。

まとめると以下のようなイメージです。

長所短所
焙煎時間が短い豆の個性を引き出しやすい(香味重視)焼きムラができやすい
焙煎時間が長い綺麗に焼き上げることができる(見た目重視)個性がなく平凡な味になりやすい
ヤマダ

安定した焙煎を目指すなら長時間焙煎、豆の特徴を楽しみたいなら短時間焙煎というイメージですね!

手鍋焙煎を極めることが自分好みのコーヒーへの最短距離!

手鍋で焙煎した豆

手鍋焙煎は始める際のコストも少なく、焙煎時間は準備と片付けを含めても30分程度しかかかりません。
また、狭いスペースでもできるため賃貸アパートでも始められるのが魅力。

極めれば、自分の理想のコーヒーを作れるだけでなく家族や友人など大切な人たちの理想を叶えてあげることも可能です。

手鍋を握ればあなたも今日から焙煎士。みんなで一緒に理想のコーヒーを追い求めましょう!

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