世界一のバリスタである粕谷さんが考案された2つのコーヒーの抽出方法。
それが「ハイブリッドメソッド」と「4:6(ヨンロク)メソッド」です。
”誰でもおいしいコーヒーが淹れられるように”という思いから考えられたこれらの抽出方法を使えば、本当に誰でも簡単においしいコーヒーを淹れられることができるんです。
本記事では2つの抽出方法のうち、「ハイブリッドメソッド」について解説します。
記事の後半では「ハイブリッドメソッド」と「4:6(ヨンロク)メソッド」の違いについてもご紹介しますので、あわせてチェックしてみてください。
「4:6(ヨンロク)メソッド」についてはこちらでまとめています。
夢のようなコーヒー抽出法!世界一のバリスタが考案した「ハイブリッドメソッド」
世界一のバリスタである粕谷哲さんが考案されたハイブリッドメソッドは、ハイブリッドという言葉の意味通り異なる抽出方法を組み合わせることで生まれた新たな抽出方法です。
浸漬式 × 透過式 で生み出されるコーヒーがおいしい
ハイブリッドメソッドでは、「浸漬式」と呼ばれる水出しコーヒーなどを使う際に用いる方法と「透過式」と呼ばれるドリップコーヒーなどを作る際に用いられる方法を組み合わせています。
それぞれの特徴は以下の表のとおり。
浸漬式(しんししき) | 透過式(とうかしき) | |
---|---|---|
概要 | コーヒー豆(粉)をお湯または水に漬け込んで抽出する方法 | コーヒー豆(粉)の層にお湯を通過させて抽出する方法 |
代表的な抽出方法 | 水出しコーヒー、フレンチプレス、 サイフォンなど | ハンドドリップ、エスプレッソなど |
メリット | ・豆の特徴をダイレクトに感じられる ・すっきりとした味わい ・同じ味を再現しやすい | ・自分好みの味わいに調整できる ・比較的短時間で抽出できる |
デメリット | ・抽出に時間がかかる ・味が単調になりやすい | ・同じ味を再現するにはテクニックが必要 |
これら2つの良いとこ取りをした夢のような抽出方法がハイブリッドメソッドなんです!!
ハイブリッドメソッドを可能にするHARIOのドリッパー「スイッチ360」
透過式と浸漬式を組み合わせるハイブリッドメソッドでは、それら両方に対応するドリッパーが必要です。
けどそんな魔法のようなドリッパーがあるのでしょうか??
…あるんです。
それがこのHARIOの浸漬式ドリッパー「スイッチ360」。
名前の通りドリッパー側面にスイッチレバーが付いており、スイッチを操作することで透過式と浸漬式を自由に切り替えることができるようになっています。
2019年に発売されたこちらのドリッパーですが、現在ではコーヒー抽出の世界大会で、海外の選手達にも使用される程の名品です。
日本ではいつでも2000円台で購入できるため、海外のバリスタからは羨ましがられているみたいです。
【手順】ハイブリッドメソッドを使ったコーヒーの淹れ方
ここからは実際にハイブリッドメソッドを使ったコーヒーの淹れ方について解説していきます。
ハイブリッドメソッドのレシピ(必要なもの)
・豆:20g(中細挽き)
・お湯:280ml
・ケトル
・ドリッパー(スイッチ360)
・スケール
・サーバー or 大きめのマグカップ
・温度計(なくても大丈夫です)
前半は透過式でコーヒーを抽出します
90度以上のお湯を注いでいきます。(温度計がある方は93度が理想です)
最初に60ml注ぎ、30秒たったら追加で60ml(合計120ml)のお湯を注ぎます。
後半は浸漬式でコーヒーを抽出するため、雑味が出ないように湯温を下げておきます。
温度計がある方は大体70度ぐらいまで下げるのがおすすめです。
STEP4でお湯を注いでから45秒経過したらスイッチレバーを上げて、浸漬式に変更します。
残りのお湯(160ml)を全量注ぎます。
STEP7でお湯を注いだ後、30秒経過したらスイッチレバーを下げてコーヒーを抽出します。
全ての液体が落ちきったらコーヒーの完成です!
途中でお湯の温度を下げるのは少し手間ですが、注ぐお湯の量や時間が明確で”誰でも簡単に”おいしいコーヒーを抽出できる方法ですね。
ハイブリッドメソッドタイムスケジュール早見表
抽出時間 | 湯量合計 | |
0:00 | 60g(1投目) | レバーを下げた状態でお湯を注ぐ |
0:30 | 120g(2投目) | 2投目を注ぎ終えたらケトルに水を加え、湯温を70度程度まで下げる |
1:15 | 280g(3投目) | レバーを上げてお湯を注ぐ |
1:45 | 280g | レバーを下げて抽出 |
3:00 | 280g | コーヒーが落ちきったら完成 |
実際に飲んでみると雑味のなさに驚く
ハイブリッドメソッドで抽出したコーヒーを飲んでまず感じたのは、その雑味の少なさ。
通常のドリップコーヒーであれば抽出の後半に雑味が出がちなのですが、ハイブリッドメソッドでは湯温を下げた浸漬式にすることで雑味が出るどころかコーヒーの甘みを際立たせることに成功しています。
また、豆ごとの味の違いが感じられやすいのもハイブリッドのメソッドの特徴です。
自分がプロのバリスタになったかと錯覚するほどの美味さでした…
今回私が使用した豆
ちなみに今回私が使用したのは、TOKYO COFFEEさんのキリマンジャロのピーベリーです。
TOKYO COFFEEさんはAmazonでピーベリーが買える珍しい店舗。品質の高い豆を取り扱われており、ネットでコーヒー豆を購入する時はよく利用しています。
ピーベリーの特徴や普通のコーヒー豆との違いはこちらの記事で解説しています。
ハイブリッドメソッドは自分好みに抽出方法をアレンジできる
ハイブリッドメソッドの素晴らしいところは「誰でも簡単においしいコーヒーを淹れられる」だけではありません。
なんとこの抽出方法は淹れる人の好みに合わせて味わいを調整することが可能なんです。
具体的には「より甘く」することと「より明るく」することができます。
調整方法も1投目の湯量を変更するだけと、とても簡単です。
より甘くするためのアレンジ
抽出時間 | 湯量合計 | |
0:00 | 40g(1投目) | レバーを下げた状態でお湯を注ぐ |
0:30 | 120g(2投目) | 2投目を注ぎ終えたらケトルに水を加え、湯温を70度程度まで下げる |
1:15 | 280g(3投目) | レバーを上げてお湯を注ぐ |
1:45 | 280g | レバーを下げて抽出 |
3:00 | 280g | コーヒーが落ちきったら完成 |
甘くしたい場合は、1投目を60gから40gに変更します。
(それに伴い2投目も60gから80gに変更)
より明るくするためのアレンジ
抽出時間 | 湯量合計 | |
0:00 | 80g(1投目) | レバーを下げた状態でお湯を注ぐ |
0:30 | 120g(2投目) | 2投目を注ぎ終えたらケトルに水を加え、湯温を70度程度まで下げる |
1:15 | 280g(3投目) | レバーを上げてお湯を注ぐ |
1:45 | 280g | レバーを下げて抽出 |
3:00 | 280g | コーヒーが落ちきったら完成 |
明るくしたい場合は、1投目を60gから80gに変更します。
(それに伴い2投目も60gから40gに変更)
ハイブリッドメソッドと4:6メソッドの違いは?
世界一のバリスタである粕谷氏はハイブリッドメソッドとは別に、4:6メソッドというコーヒーの抽出方法も考案されています。
4:6メソッドを使ったコーヒーの抽出方法などについてはこちらの記事で解説していますが、4:6メソッドを端的に表現すると淹れるコーヒーの味わいを定量的に表現したコーヒーの抽出方法と言えるでしょう。
全てが定量的に表現されているため、時間や湯量をレシピのとおりに調節するだけで誰でもコーヒーの味わいをコントロールすることができます。
ハイブリッドメソッドと4:6メソッドはどちらがおすすめ?
ハイブリッドメソッドと4:6メソッドはどちらも優れた抽出方法ですが、その人のコーヒーに対する考え方によっておすすめできる抽出方法は異なります。
どちらの抽出方法を利用しようか悩んでいる方は、以下を参考にしてみてください。
ちなみに4:6メソッドではこちらの記事で紹介している粕谷モデルのドリッパーがおすすめです。
世界チャンピオンの抽出方法で家庭でもプロの味を楽しむ
いかがだったでしょうか。
世界チャンピオンが考案した抽出方法と聞くと身構えてしまう方もいらっしゃったかと思いますが、意外と簡単においしいコーヒーが淹れられることがお分かりいただけたと思います。
”誰でも簡単においしいコーヒー”という粕谷氏の思いが詰まった抽出方法を活用して、皆さんもおいしいコーヒーを楽しんでくださいね。
ハンドドリップをしたことがなかった私の母親も「この方法なら私でもカフェができるわ」と調子に乗るほどおいしいコーヒーを淹れられました。笑